セラミックス基複合材料(Ceramic Matrix Composites:CMCs)と呼ばれる材料は新たな機械材料として注目され,民間航空機のジェットエンジンのタービンブレードをはじめとする高温部材への適用されようとしています.CMCは耐熱•耐酸化性能に優れたセラミックスを直径10μmのSiCやAl2O3といったセラミックス繊維織物で強化した複合材料であり,単体のセラミックスの弱点である脆いという欠点を克服し損傷を材料内部に蓄積する損傷許容性を持ちます。タービンブレードにおいては、CMCの表面に熱遮蔽コーティングや、水蒸気耐性を持つ酸化物をコーティングすることで劣化を防ぎます。
本研究室では①CMCの製造プロセスのシミュレーション,②既存のCMCの寿命予測や信頼性保証技術の確立というまさに社会実装されようとしているCMCの問題を解決すべく研究を行っています.また,既存研究の延長線上にない「新たなCMCを創出する」という研究課題にも取り組んでいます.
Y. Ishioka (Alumni, 2021), J. Mater. Sci., 57(16) 2022, 7767-77.
T. Marumo (Alumni, 2022) et. al, J. Euro. Ceram. Soc., 42 (2022) 5208-19.(IF=6.364)
N. Koide (M2, 2023) et al., J. Mater. Sci., 57 (2022) 19785-98 (IF=4.682)
pa
CMCの製造法は気相と液相を利用する方法があります。後者は溶融含浸法と呼ばれ、金属を溶融させ多孔質媒体中に含浸すると同時に炭素源と反応させマトリックスを形成させる手法です。前者に比べ低コストで緻密なマトリックスを形成できる一方、制御が難しく、しばし欠陥が残留したり、繊維/マトリックス界面が強固に結合し、繊維の特性を100%発揮できないという問題点があります。本研究室では、溶融金属の含浸現象を界面の反応を考慮した流体シミュレーションにより再現し、最適な製造条件を見出すことを試みています。この取り組みをプロセシングインフォマティクスとして発展させ、勘やノウハウに頼らないモノづくりを実現させたいと考えています。
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研究テーマの例
1. Materials Informaticsを利用した既存材料の耐熱性能を超えるCMCの開発
2. 溶融金属の含浸現象を利用した新規CMCの開発とプロセス過程のマルチフィジックスシミュレーション
3. ハイエントロピーセラミックスを用いた熱遮蔽コーティングの開発
4. Zr合金を利用した超高温耐熱複合材料の開発と再突入環境での性能実証
5. 自動車用CMCディスクブレーキの信頼性評価