研究概要

本研究室では、ジェットエンジンをはじめとする高温構造材料•コーティングや自動車•インフラ構造物に用いられる軽量複合材料を対象に研究を行っています。

行っている研究は、(1) 新しい材料を生み出す基礎研究, (2) 材料の特徴量を抽出するための計測•評価技術, (3) 開発した材料が「使える材料なのか」を検証する実用的研究に大別されます。

基礎研究においては、これまでの材料では難しかった機械的性質(強度や靭性)、熱的特性(熱伝導、熱膨張)を発現させることを目標としています。実験を基本としつつ、新たな機能発現のための材料設計には情報科学的アプローチが重要です。また、材料をどのように作るかも重要なトピックであり、試行錯誤を繰り返すアプローチからマルチフィジックスなどを活用したシミュレーションを有効活用しています。

計測・評価技術の開発においては、高温で生じる現象を直接捉えるための光学系を構築したり、トモグラフィーと画像処理、深層学習や機械学習を用いて材料固有の特徴量を抽出したり強度を予測する研究を行っています。また、材料試験から効率よく情報を得るためのハイスループット計測技術の開発によってDX化に寄与したり、材料の変形や破壊を定量的に理解するための4D計測•可視化技術の研究を行っています。

実用的研究では、疲労やクリープといった部品として重要な寿命や信頼性を評価したり、ジェットエンジンや大気圏再突入などの特殊な利用環境を模擬し、材料の振る舞いや劣化現象を解明することに取り組んでいます。マルチスケール有限要素法、化学反応を考慮したマルチフィジックスシミュレーションなど、解析と実験を組み合わせた研究も展開しています。



現在の修士•卒業論文の研究テーマ

2023年

・連続繊維3Dプリンターを用いたジェットエンジン用複合材料の開発 (理工学部 松崎研究室と共同)

・エンジン環境を模擬するための評価手法の開発 (民間企業との共同研究)

・耐クラック性に優れたポーラスアルミナ皮膜の機械的性質 (民間企業との共同研究)

・航空機ジェットエンジン用複合材料及びコーティング材料の開発 (NEDOプロジェクト, NIMS/民間企業/横浜国大との共同研究)
・ジェットエンジン用複合材料の製造過程のマルチフィジックスシミュレーション(科研費研究/JAXA NALとの共同研究)
・極超音速/宇宙往還機用セラミックス複合材料の開発 (JAXA/ISASとの共同研究)
・高エントロピーセラミックスの遮熱コーティングへの応用(民間企業との共同研究, NEDOプロジェクト)
・放射光マルチスケールトモグラフィーと深層学習によるセラミックス、セラミックス系複合材料の三次元構造解析 (NIMSとの共同研究)
・航空機用薄層CFRPの機械的特性評価とFEMシミュレーション (NIMSとの共同研究)
・CFRPロープのマルチスケール変形シミュレーションと構造最適化 (民間企業との共同研究)
・機械学習を用いたCFRP積層板の強度予測 (民間企業との共同研究)
・セラミックス系複合材料の三次元オペランド変形分布計測 
・トモグラフィーとDVCを用いた材料内部の変形分布の定量的評価 (NIMSとの共同研究)



次年度配属(学部生)の方へ

見学等は随時受け付けています。inoue.ryo[at]rs.tus.ac.jpにお気軽にご連絡ください。

(研究室見学の際、よく受ける質問についてはこちらにまとめます)

 

次年度(2024年度)実施予定の研究テーマは以下のとおりです(変更はあるかもしれません) 

・連続繊維3Dプリンタを用いたCMCの造形と性能評価 (公的研究機関との共同研究)

・燃焼試験による極超音速機用炭素繊維強化超高温セラミックス複合材料の性能評価(公的研究機関との共同研究)

・セラミックス系複合材料の三次元オペランド変形分布計測 

・ピッチ系炭素繊維を用いた高熱伝導超高温セラミックス複合材料の開発 (民間企業との共同研究)

・エンジン環境を模擬するための評価手法の開発 (民間企業との共同研究)

・画像処理と機械学習を利用した複合材料の特徴量抽出


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井上研究室では産学官連携に積極的に取り組んでおります。技術相談、共同研究等、さまざまな形での連携が可能です。

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